エマちゃんとは、バイト先でもよく「幼馴染ですか?」って聞かれるくらい、気さくで自然な関係性が続いていた。
その後もエマちゃんとは、お互いの友達を連れて遊びに行ったりしていた。
ぼくとしては少し意外だったけど、エマちゃんは元彼と今も普通に連絡を取り合っていて、会ったりするのも特別なことじゃないらしかった。
何事もなかったかのように、あの夜を経ても、ぼくたちは自然体のままで関係が続いていった。
リッキーやたんくんと一緒に、エマちゃんとその友達を誘ってカラオケに行ったり、遊びに出かけたりする日々が続いた。
仲間内で恋愛が発展するようなことは、特になかったように思う。
ある日、エマちゃんから「お姉ちゃんも一緒にお好み焼き食べに行こうよ」と誘われた。
エマちゃんのお姉さんは、エマちゃんほど朗らかではなくて、どこか繊細で、責任感の強そうな人だった。
その場で連絡先を交換して、後日、お姉さんの方から「さみしいから来てほしい」って連絡がきた。
人から好かれることに、悪い気はしなかった。
それに、どこかで「エマちゃんの近くにいられるような気がする」という感覚もあって、お姉さんとも何度か会った。
でもぼくの態度がどこか他人行儀だったからか、お姉さんは次第に距離を取るようになっていった。
エマちゃんの友達と遊んだときも、似たようなことがあった。
明るくて甘えん坊な子で、よくメールをくれて、好いてくれているようだったけど、いつの間にか離れていった。
いろんな人と出会い、遊ぶ中で、ぼくは自分の気持ちに気づいていった。
誰と一緒にいても、心のどこかで比べてしまっていた。
頭から離れなかったのは、やっぱりエマちゃんだった。
でも、だからといってエマちゃんと恋人になれるわけでもなかった。
もしそうなったとして、バイト先でどう見られるのか、ちゃんとやっていけるのか、自信もなかった。
好きという気持ちは確かにあったけれど、あのときのぼくには、「すべてを賭けてでも関係を進めたい」というほどには、気持ちが成熟していなかったのかもしれない。
ただひとつ言えるのは、
どんな人といても、ぼくの中でエマちゃんの存在が特別だったということだ。
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