高校を中退して引きこもっていた時期、僕を支えてくれた作品があります。
それが「新世紀エヴァンゲリオン」でした。
物語の中で、ぼくは主人公・碇シンジに自分自身を重ねていました。
とくに父親との関係性には、どこか自分と通じるものを感じていたんです。
印象的だったのは、シンジが街を救ったあと、やっと「よくやった」と言われる場面。
でもその言葉を、本当は父から聞きたかった──そんなシンジの思いに、胸がぎゅっとなりました。
「逃げてもいい」って言葉もありました。
でも「逃げた先には、何もなかった」──という言葉もあって、すごく突き刺さりました。
当時の僕には、どれもが自分のことのように感じられたんです。
でも、一番心に残っているのは、シンジが「僕なんて何もできないんだ」と落ち込んだとき。
そのときミサトさんが言った言葉。
「何もできないと“思ってる自分”でしょ?」
この一言にハッとしました。
「あぁ、僕は“自分で”自分のことをダメだって決めつけていたんだ」と気づいたんです。
それから、ほんの少しずつですが、前に進もうとする力がわいてきました。
フリースクールに通ってみようと思えたり、通信制の高校に進学したり。
後には、車の免許を取って、アルバイトも始められるようになりました。
今思えば、あの頃の僕の背中をそっと押してくれたのは、「エヴァンゲリオン」の言葉たちだったと思います。
そして、「自分の可能性を自分で潰さないようにしよう」という気持ちが芽生えたのも、この頃からでした。
誰かの言葉が、たった一言が、人生を変えるきっかけになることって、ほんとうにあるんだなと感じます。
「こうして、ぼくは自分の可能性を信じて少しずつ歩み始めることができました。あの言葉が背中を押してくれたから、今のぼくがあるんだと思います。」
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