大学時代、ぼくが少しずつ社会と関わりを持ち、引きこもりから抜け出すことができたのは、やっぱり友人の存在が大きかったと思います。
中学の同級生リッキーは、読書・筋トレ・音楽が趣味の、心優しい男の子。ぼくと同じ通信制高校を卒業したあと、彼もしばらくぶらぶらしていました。
正直、あの頃のぼくらは、ふたりだけでは世界が閉じていたように思います。
そんな中、リッキーと一緒に成人式に出たことで、世界が少しずつ広がり始めました。
そこで再会したのが、たんくんです。
たんくんは、ちょっとお笑い芸人っぽいセンスのある面白い男の子。中学時代は、ぼくやリッキーよりもスクールカーストの上にいて、女の子にも人気がありました。
「きっと彼女がいて、大学生活も充実してるんだろうな」と思っていたら、意外にも彼も彼女はいなくて、大学では単位をとるのに苦労していて、友達も少ないという話。
そんな共通点もあってか、3人はどこか気が合って、自然と一緒に遊ぶようになっていきました。
たんくんは、大学生活だけでなく飲食店でのアルバイトや就職活動などもしていて、**“社会とつながっている普通の大学生”**という存在。ぼくにとっては、とても刺激的でした。
夜になると、たんくんがゲームを持ってぼくの家に遊びに来てくれて、一晩中語り合ったことも何度もあります。
父も継母も、「夜中うるさいな」と思っていたかもしれませんが、そっと見守ってくれていたのがありがたかったです。
引きこもりの人って、友達や彼女がいない人が多いと思います。
でも、一晩中語り合えるような仲間がそばにいたら、きっと心が少しずつ開いて、外の世界にも踏み出せるようになると思うんです。
実際、ぼくもそうでした。
カラオケに行ったり、ドライブしたり、飲みに行ったり、遠出して海や旅行に行ったり──
普通の若者たちと同じように、友人たちと遊べるようになっていったんです。
就職活動まではなかなか頭が回らなかったけれど、リッキーやたんくんと遊ぶうちに、
「お金がいるから、アルバイトしてお小遣いを稼ごう」と思うようにもなりました。
それがきっかけで、大学での単位も取れるようになってきて、少しずつだけど人生が動き始めた実感がありました。
ぼくは思います。
普通の若者でも、引きこもりでも、仲間や友達って絶対に必要だって。
ぼくにとっては、リッキーとたんくんがいてくれたからこそ、少しずつ社会参加ができるようになりました。
いまはSNSやオンラインの世界で、ネット上に気の合う仲間を見つけることもできる時代です。
もし今、ひとりでつらさを感じている人がいたら、ぜひ焦らず、少しずつでも仲間を探してみてください。
一晩中語り合えるような人に出会えたら、きっと、人生がゆっくりと動き始めます。
ぼくはそう信じています。
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