10代の頃、自分のことがあまり好きじゃなかった。
やりたいことも見つからなくて、先のことなんて考える余裕もなくて。
それでもなんとか、毎日を生きてた。
そんなぼくのそばにいてくれたのが、「音」や「物語」だった。
可愛くて、明るくて、理想の女の子 ― 鈴木あみさん
当時、鈴木あみさんが大好きだった。
可愛くて、元気で、明るくて。ぼくの中の「理想の女の子」そのものだった。
特に、日曜日の夜にやっていた彼女のラジオ。
翌日は通信制高校の通学日(月曜だったから)、
ちょっと憂うつな夜に、彼女の声が元気をくれた。
「勉強も大変だけど今だけだから、がんばっちゃおうよ!」
そんな励ましの言葉をカセットテープに録音して、
繰り返し聴きながら、学校に向かう勇気をもらっていた。
不安に寄り添いながら、背中を押してくれた ― SURFACE「なにしてんの」
それから、SURFACEの「なにしてんの」って曲も、
何度も何度も聴いていた。
「このまま今のままでよくないんだったら、動き出そうよ」
っていうメッセージ。
ぐずぐずしている自分を否定するんじゃなくて、
「じゃあ、そろそろ動いてみる?」って、そっと手を引いてくれるような曲だった。
不安な気持ちにも寄り添ってくれて、
「動き出すこと」自体が一歩だって、教えてくれたように思う。
恋から夢が始まってもいい ― ジブリ「耳をすませば」
そして、ジブリ映画の**『耳をすませば』**。
これは、今でもずっと大好きな作品。
10代のころ、やりたいことなんて見つからなくても、
人を好きになる気持ちはあるんだよね。
この映画では、雫が聖司に恋をして、
その人に追いつきたくて、何かを始めようとする。
「やりたいことがある」じゃなくて、
「好きな人に追いつきたい」が先に来てる。
それってすごくリアルだし、10代の自分にぴったりだった。
恋をして、それがきっかけで夢が見えてくる――
そんな順番だって、ぜんぜんいいんだって思えた。
あの頃、鈴木あみさんの声や、SURFACEの歌や、『耳をすませば』の世界が、
ぼくの「生きづらさ」に、そっと寄り添ってくれた。
今でも、あのときの気持ちを思い出すと、
ちょっと泣きそうになるくらい、大切な宝物たちです。
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